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熊本で山林を売買する前に知っておきたい新ルール|県条例による事前届出制度とは

山林


熊本で山林を売買する前に知っておきたい新ルール

    ~県条例による事前届出制度とは~


見出し
1 新しいルールはいつから始まるのか
2 どのような土地が対象になるのか
3 売買だけでなく、ほかの契約も対象になる
4 どのような場合が対象外になるのか
5 何を、いつまでに届け出るのか
6 既存の「所有者届出」と何が違うのか
7 山林売買でまず確認したい実務上のポイント
8 まとめ

 熊本県で山林の売買を検討するとき、これからは「契約した後の手続き」だけでなく、「契約する前の手続き」にも注意が必要です。県は令和8年3月に「熊本県豊かな森林の保全に関する条例を制定し、森林である土地の取引に関する事前届出制度を設けました。これにより、一定の森林については、売買等の契約を結ぶ30日前までに、当事者や利用目的などを県へ届け出る流れが始まります。 


 山林売買の相談では、「登記をすれば終わりではないのか」「買った後に届出を出せばよいのではないか」と考えられることがあります。しかし、今回の県条例は、森林の多面的機能を維持し、不適切な伐採や開発の懸念を未然に防ぐために設けられたもので、取引の段階から県が必要な情報を把握する仕組みです。したがって、これから熊本県内で山林の売買を扱うときは、価格や境界だけでなく、契約前に届出が必要な土地かどうかを早い段階で確認しておくことが重要になります。 


新しいルールはいつから始まるのか


 まず実務上いちばん大切なのは、制度がいつから動くかです。熊本県の案内では、事前届出制度の運用開始は令和8年9月1日で、令和8年10月1日以後の契約に適用されるとされています。つまり、9月から届出の受付が始まり、10月以後に締結する対象契約について、契約前の届出が必要になるという理解が基本です。売買スケジュールを組む際には、「契約日の30日前」という逆算が必要になるため、従来よりも準備期間を見込んで動く必要があります。


どのような土地が対象になるのか


 ここで注意したいのは、一般に「山」「山林」と呼ばれていても、すべてが同じ扱いになるわけではないことです。県の案内では、対象となる森林は森林法第5条で規定される県内の森林とされています。実務では、見た目が山林でも、法令上の対象森林に当たるかどうかで手続きが変わることがあります。そのため、売買の話が進んでから慌てないよう、物件資料の段階で「この土地は条例の対象となる森林か」を確認する視点が欠かせません。 

 不動産取引の現場では、「山だから届出が必要」「雑木林だから不要」といった感覚的な判断をしてしまうと危険です。重要なのは、現地の印象ではなく、法令上どの森林に該当するかです。山林売買を検討する読者に向けては、「現況」ではなく「法令上の位置付け」を見る必要がある、という点を丁寧に伝えると、実務的で中身のある記事になります。 


売買だけでなく、ほかの契約も対象になる


 今回の制度は、単純な売買契約だけを対象にしているわけではありません。熊本県の公表内容では、対象となる契約として、贈与契約、売買契約、交換契約、地上権に関する契約、地役権に関する契約、使用貸借に関する契約、賃貸借に関する契約が挙げられています。つまり、所有権の移転だけでなく、利用権や用益権に関する契約まで含めて整理されている点が、この制度の特徴です。 

 この点は、山林を資産として考える方ほど重要です。例えば、売却ではなく貸し付けを予定している場合でも、契約内容によっては事前届出の検討が必要になります。山林の取引は宅地の売買よりも契約形態が多様になりやすいため、「所有権が動くかどうか」だけで判断せず、契約の種類自体を確認する視点が必要です。 


どのような場合が対象外になるのか


 反対に、すべての取引が届出対象になるわけでもありません。県の案内では、相続に伴う所有権等の移転契約当事者が国または地方公共団体等である場合、そして地上権設定を伴わない立木売買は対象外とされています。ここを理解していないと、「山林が動くなら全部事前届出」と受け止めてしまい、かえって説明が雑になります。 

 特に相続は、山林所有の場面でよく出てくる論点です。相続は今回の県条例による事前届出の対象外ですが、それで一切手続きが不要になるわけではありません。制度が違えば、届出の要否や提出先も変わります。したがって、記事では「対象外です」で終わらせず、対象外であっても別制度の確認が必要な場合があると整理しておくと、実務に沿った説明になります。

 

何を、いつまでに届け出るのか


 県の公表内容によれば、事前届出では、売主等・買主等の氏名や住所、土地の所在と面積、権利の種別や内容、移転等後の利用目的、契約締結予定日などを届け出ることになります。単に「取引します」と知らせるだけではなく、取引後にその土地をどのように利用しようとしているのかまで確認対象になっている点が、この制度の実務上のポイントです。 

 また、届出時期は契約締結の30日前までです。不動産売買では、価格交渉や境界確認、契約条件の調整を進めながら契約日に向かうことが多いため、この「30日前」というルールは軽く見ないほうがよいです。契約日を先に決めてしまってから対象森林だと分かると、スケジュールの組み直しが必要になるおそれがあります。山林取引では、宅地以上に現地確認や権利関係の整理に時間がかかることもあるため、早めに対象性を確認しておくことが重要です。 


既存の「所有者届出」と何が違うのか

 

 ここで混同しやすいのが、森林法による森林の土地の所有者届出です。こちらは、売買や相続などで森林の土地を新たに取得した人が、所有者となった日から90日以内に市町村長へ事後届出を行う制度です。熊本県は、個人・法人を問わず、売買や相続等により森林の土地を新たに取得した場合、面積にかかわらず届出が必要だと案内しています。 

 つまり、今回の県条例による事前届出は「契約前に県へ」、森林法による所有者届出は「取得後に市町村へ」という違いがあります。しかも、後者は取得後の手続きであり、前者を出したから後者が当然に不要になるわけではありません。山林売買を説明する記事でこの二つを分けて整理できると、読者にとって非常に分かりやすくなります。制度の名前が似ていない分、かえって混同しやすいので、実務では「契約前」と「取得後」で区別して覚えるのが有効です。 


山林売買でまず確認したい実務上のポイント


 熊本県内で山林を売買しようとするときは、最初に「その土地が条例の対象となる森林か」を確認し、次に「予定している契約が対象契約に当たるか」を見ます。そのうえで、契約予定日から逆算して30日前までに事前届出が必要かを判断し、あわせて取得後の所有者届出や、将来の利用内容によっては別の規制が関係しないかも検討していく流れが現実的です。 

 特に、山林は「買えたから自由に使える」という性質の土地ではありません。今回の条例が利用目的の届出を求めていることからも分かるように、森林は国土保全、水源かん養、生物多様性の保全など、多面的機能を持つ土地として扱われています。したがって、価格だけで判断せず、取引の段階から法令上の位置付けを確認することが、後悔の少ない山林取引につながります。 


まとめ


 熊本県では、令和8年3月制定の「熊本県豊かな森林の保全に関する条例」により、山林取引に新しい視点が加わりました。令和8年10月1日以後の対象契約では、契約締結の30日前までに県への事前届出が必要になるため、これまでの感覚で売買日程を組むと間に合わない可能性があります。売買だけでなく、贈与や交換、賃貸借なども対象になりうる一方、相続など対象外となるケースもあるため、制度の整理が欠かせません。 

 山林の売買では、価格や面積だけでなく、「この土地はどの制度の対象か」「契約前に何が必要か」「取得後に別の届出が要るか」を順に確認することが大切です。熊本県内で山林の取得や売却を検討されている方は、契約直前になってから慌てないよう、早い段階で法令上の確認を進めておくと安心です。 


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