
熊本の土地売却でかかる費用とは?仲介手数料・税金・測量費などを解説
熊本の土地売却でかかる費用とは?仲介手数料・税金・測量費などを解説

熊本の土地売却でかかる費用とは?仲介手数料・税金・測量費などを解説
「土地を売りたい」と思い立ったとき、売却代金そのものだけでなく、さまざまな費用が発生します。利益を最大化するためには、「手取り=売却代金−諸費用」であることを意識しなければなりません。
本記事では、国土交通省・国税庁・法務省などの公的資料をもとに、土地売却にかかる代表的な費用のうち、仲介手数料・税金・測量費などについて整理します。熊本で土地を売却することを想定しつつ、全国どの地域でも共通する制度を中心に解説します。
土地売却でかかる主な費用の一覧
まずは、発生する可能性のある費用を一覧で確認しましょう。
| 費用カテゴリ | 内容 | かかるタイミング |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社に支払う報酬 | 売買成立時 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼付する印紙 | 契約書作成時 |
| 測量費 | 境界確定・分筆などの測量 | 売却前〜売却中 |
| 登記費用 | 所有権移転登記などの登録免許税・司法書士報酬 | 売買成立後 |
| 抵当権抹消登記 | ローン完済時の抵当権抹消 | 売買成立前 |
| 解体費 | 上物(古い建物等)を解体する場合 | 売却前 |
| 譲渡所得税 | 売却益に対する所得税・住民税 | 確定申告時 |
| その他 | 農地転用許可申請、草刈り・整地費など | 個別 |
1. 仲介手数料(不動産会社への報酬)
上限額の基本ルール
宅建業法では、宅建業者が売主または買主から受領できる仲介手数料に、上限額(告示による料率)が定められています。上限を超える報酬を受け取ることは法律違反です。
売買代金に対する上限(税込・消費税10%)は、次の速算式で求められます。
- 売買代金200万円以下の部分:5.5%
- 200万円超400万円以下の部分:4.4%
- 400万円超の部分:3.3%
200万円×5.5% + 200万円×4.4% + 600万円×3.3% = 39.6万円(税込)が上限
「低廉な空家等」の特例(2024年7月〜)
2024年7月1日の宅建業法改正により、空き家(低廉な空家等)の取引については、特例が設けられました。
- 対象:物件価格が800万円以下の宅地建物(使用状態は問わない)
- 上限額:依頼者一方から受領できる仲介手数料(税込)は、33万円(30万円×1.1倍)以内
従来、800万円以下の物件は低い料率のために不動産会社が仲介を受けにくい傾向がありましたが、この特例により、空き家の流通促進が図られています。
※熊本県内でも、空き家の売却が増加している地域では、この特例が適用されるケースがあります。
2. 印紙税(売買契約書に貼る印紙)
不動産の譲渡に関する契約書(売買契約書)には印紙税がかかりますが、現在軽減措置が適用されています。
【軽減後の税額(軽減措置期間:令和9年3月31日まで)】
| 記載された契約金額 | 税額 |
|---|---|
| 10万円超〜50万円以下 | 200円 |
| 50万円超〜100万円以下 | 500円 |
| 100万円超〜500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 3万円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 6万円 |
| 5億円超〜10億円以下 | 16万円 |
| 10億円超〜50億円以下 | 32万円 |
| 50億円超 | 48万円 |
※契約金額が10万円以下のものは軽減対象外(200円)、10,000円未満のものは非課税です。
たとえば、1,500万円の土地を売却する場合、売買契約書に貼る印紙は 1万円 となります。
3. 測量費(土地の境界確定・分筆など)
土地の境界が明確でない場合、買主とのトラブルや売却後の紛争を防ぐため、測量が必要になることがあります。
測量が必要になるケース
- 境界杭がなかったり、ずれている場合
- 登記簿上の面積と実際の面積が異なる場合
- 農地を宅地に転用する場合
- 地震により地籍が不明確になった地域
特に熊本では、平成28年熊本地震や令和8年熊本地震により地籍(土地の境界情報)が不明確になっている地域もあるため、売却前に測量が必要になるケースがあります。国土交通省は、被災地域での地籍調査(境界基本調査)を推進しています。
費用の目安
測量費は、調査士会や業者により異なりますが、熊本県内の土地家屋調査士への一般的な目安は次の通りです。
| 測量の種類 | 費用目安 |
|---|---|
| 現況測量(簡易) | 約5万円〜20万円 |
| 確定測量(隣地立会い含む) | 約30万円〜60万円 |
※土地の面積・形状・隣地の状況により大きく変動します。確定測量は隣地所有者との立会いが必要になるため、調整に時間を要することもあります。
熊本県土地家屋調査士会によれば「皆様の大事な土地・建物の敷地の範囲や形状を明確に測量し、登記する専門家」です。複数の土地家屋調査士事務所に見積もりを依頼することをおすすめします。
4. 登記費用(所有権移転・抵当権抹消)
所有権移転登記の登録免許税
土地の売買では、買主の所有権移転登記を行います。登録免許税は以下の通りです。
- 土地の所有権移転登記(売買):固定資産税評価額の 2.0%(軽減前は4.0%)
軽減措置の適用期限は評価時期により異なるため、最新の情報を確認する必要があります。
抵当権抹消登記(住宅ローン完済の場合)
売却する土地に住宅ローン等の抵当権が設定されている場合、ローン完済後に抵当権を抹消する必要があります。
- 登録免許税:不動産1個につき 1,000円(土地と建物で2,000円が一般的)
司法書士に依頼する場合の報酬は事務所により異なりますが、概ね1万円〜2万円程度が目安です。
5. 解体費(建物を解体して土地を売る場合)
古い建物が残っている土地を「更地」として売却する場合、解体工事が必要になります。熊本県内における解体費用の一般的な目安は次の通りです。
| 構造 | 坪単価目安 |
|---|---|
| 木造 | 約2.7万円〜6.3万円/坪 |
| 鉄骨造 | 約2.9万円〜5.2万円/坪 |
| RC造(鉄筋コンクリート) | 約5.2万円〜10万円/坪 |
※構造、立地(道路幅・近隣との距離)、建物の状態により大きく変動します。
30坪の木造住宅:30坪 × 約3万円 = 約90万円
40坪の木造住宅:40坪 × 約3万円 = 約120万円
※なお、令和8年熊本地震の被災地域では、県が市町村に示した解体費の標準単価が適用される場合があります。
6. 譲渡所得税(売却益にかかる税金)
土地を売却して利益が出た場合、譲渡所得税が発生します。
税率
所有期間によって税率が異なります(譲渡した年の1月1日時点で判定)。
| 区分 | 所得税 | 住民税 | 合計 | 復興特別所得税 |
|---|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得(5年超) | 15% | 5% | 20.315% | 所得税額×2.1% |
| 短期譲渡所得(5年以下) | 30% | 9% | 39.63% | 所得税額×2.1% |
※復興特別所得税(2011〜2037年)は、所得税額に対して2.1%を乗じて計算します。
譲渡所得の計算式
- 取得費:購入時の代金や購入手数料など
- 譲渡費用:売却に直接かかった費用(仲介手数料など)
- 特別控除:要件を満たす場合に適用可能
7. 適用可能な特例・控除
① 居住用財産の3,000万円特別控除
自分の自宅(居住用財産)を売却した場合、最高 3,000万円 を譲渡所得から控除できます。
② 被相続人の空き家(3,000万円特別控除)
相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば最高 3,000万円(相続人が3人以上の場合は2,000万円)を控除できます。
主な要件:
- 相続の開始時点で、被相続人以外に居住していた人がいなかったこと
- 売却代金が 1億円以下 であること
- 相続開始から 3年以内 に売却すること
- 耐震基準を満たすか、取壊し後に売却すること
- 適用期限:令和9年12月31日までの売却
③ 低未利用土地の100万円特別控除
都市計画区域内にある低未利用土地を売却した場合、譲渡所得から 最高100万円 を控除できます。
主な要件:
- 所有期間が 5年超(譲渡した年の1月1日時点)
- 譲渡価額が 500万円以下(一定区域では800万円以下)
- 親子・夫婦などの「特別な関係」でない第三者への譲渡
- 適用期間:令和10年12月31日までの譲渡
※熊本県内でも、都市計画区域内の低未利用地(空き地など)が対象となります。
④ 軽減税率の特例(マイホーム売却)
所有期間が10年超のマイホームを売却し、一定の要件を満たす場合、税率が次のように軽減されます。
- 課税長期譲渡所得6,000万円以下:10%
- 課税長期譲渡所得6,000万円超:(A−6,000万円)×15%+600万円
8. 農地を売却する場合の追加費用
売却予定の土地が農地である場合、そのままでは宅地にできないため、買主が見つかりにくいケースがあります。その場合、農地転用の手続きが必要になり、追加費用が発生します。
農地転用にかかる費用の目安
| 費用項目 | 相場の目安 |
|---|---|
| 測量費(現況測量) | 約5万円〜20万円 |
| 行政書士報酬(市街化区域:届出) | 約5万円〜 |
| 行政書士報酬(市街化調整区域:許可) | 約11万円〜17万円 |
| 地目変更登記(司法書士) | 約7万円〜(登録免許税含む) |
※熊本県内の市町村(宇城市、天草市、御船町、嘉島町、菊池市、益城町など)では、隣接農地所有者や土地改良区の同意書・承諾書を求められる場合があります。
9. 具体的な費用シミュレーション例
最後に、ここまでの内容を踏まえた具体的なシミュレーション例を紹介します。
【事例】熊本市内、1,500万円の土地(更地、所有期間10年)を売却する場合
| 費用項目 | 金額(目安) |
|---|---|
| 仲介手数料(上限) | 約52.8万円 |
| 印紙税(軽減後) | 1万円 |
| 測量費(確定測量) | 約40万円 |
| 所有権移転登記の登録免許税 | 評価額の2.0% |
| 抵当権抹消登記(該当する場合) | 約3,000円〜5,000円 |
| 譲渡所得税(利益800万円の場合) | |
| 長期20%+復興特別所得税 | 約163万円 |
※ただし、所有権移転登記の登録免許税は評価額により変動し、測量費は個別事情により大きく異なります。譲渡所得税は、利益が出た場合のみ発生します。
まとめ
土地の売却には、売却代金そのもの以外にも多くの費用がかかります。
- 仲介手数料は法律で上限が定められています。800万円以下の空き家は33万円が上限です。
- 印紙税は軽減措置により、通常より低い税額で済みます(令和9年3月31日まで)。
- 測量費は境界の状況により必要になり、熊本では震災後の地籍確認が必要になるケースもあります。
- 解体費は木造で約2.7万円〜6.3万円/坪が目安です。
- 譲渡所得税は、長期所有なら20.315%、短期なら39.63%(いずれも復興特別所得税込み)の税率です。
- 各種特例・控除を活用すれば、税負担を大きく軽減できる可能性があります。
売却を検討する際は、複数の不動産会社や専門家(土地家屋調査士、税理士、司法書士など)に相談し、正確な見積もりと税務シミュレーションを行うことをおすすめします。
参考・出典一覧
- 国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」(仲介手数料の上限、空き家の特例)
- 国税庁「No.7108 不動産譲渡契約書の印紙税の軽減措置」
- 国税庁「土地や建物を売ったとき」(譲渡所得税の税率)
- 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
- 国税庁「No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」
- 国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
- 法務局「抵当権の抹消登記に必要な書類と登録免許税」
- 熊本県土地家屋調査士会
- 解体ガイド「熊本県の解体費用相場」
- クラッソーネ「熊本県の解体費用相場」
- 熊本県「令和8年熊本地震 損壊家屋等の解体費標準単価について」
- 国土交通省「被災地域境界基本調査」
- 熊本県「農地転用許可制度について」